「より多くの通貨を発行し、より多くの借金を作り出そうとする今のアメリカ政府のやり方は、五年以内に、現在の危機と同じような危機を再び生み出すだろう」二○○八年の大統領選挙の民主・共和両党の候補者であった、オバマとマケインは、当然のことながら、議会で成立した緊急経済安定化法を支持した。
この時点でアメリカ国民は、どちらかの候補者を選択するという権利を奪われた格好になった。
政府の支援策を熱狂的に支持する人々のおかげで、二○○八年末までにアメリカ政府は七兆七○○○億ドル(約七七○兆円)も支出することになった。
アメリカ政府ではなく、アメリカ国民が支出するのだ。
この数字はまだほんの始まりに過ぎない。
は違うことをしようとしているのは、すぐに分かった。
だが彼らの言う「変化」とは、より巨額の救済策、より広範な政府介入、原因追求よりも対処策優先といったもので、政府負債と支出の増大につながるものであった。
政治家たちは、この方法で経済が回復すると頑なに信じている。
この迷信は、論理的な説明をしても、歴史的な事実を突きつけても、なかなか取り払うことができない。
「政府の介入によって経済が回復するという迷信」は、なかなか覆せないものだ。
それは、「支出によって経済を回復するという迷信」が学問的に支持を受けているからだ。
政府とは、とにかく支出をしたくて仕方がない存在なのである。
自分たちの頭の中では宇宙クラスの賢人たちであるところのH・P、B・B、バラク・オバマ、B・F下院金融委員会委員長、クリス・ドッド上院金融委員会委員長らは、今の状況を放置することしかできない。
政府や連邦準備制度は、今の状況を改善することなどできない。
彼らにできることは、今の状況を長引かせることくらいだ。
そして、長年にわたり経済の学者を勤めたJ・K・Gは、二○○八年二月の初め、ニューヨーク・タイムズ紙のインタビュー取材を受けた。
その中でガルブレイスは、「アメリカ国内に一万五○○○人いる経済学者の中で、経済危機が来ると予想していたのは、わずか一○人から三人だけだった」と述べた。
ガルブレイスと付き合いのあるお仲間の経済学者たちには、経済危機の到来を予想した人はほとんどいなかった。
アメリカ経済を破壊するのは連邦準備制度だ。
重要なのに無視され続けた問題たり無視されてきた重要な考えの数々に注意を向けようとしている。
LやF・A・Hといった人々の自由市場に関する考えは、現在私たちが直面している経済危機に多大な示唆を与えている。
それに対して他の多くの経済学者や金融アナリストたちは、経済危機自体を完全には理解できていない。
私たちがよく目にし、耳にする類の経済理論では、今の経済危機を説明することはできない。
ここで私が紹介する様々な考えの多くは古くからのもので、これまでは単に無視されてきたのである。
しかし、Mが発展させたオーストリア学派に属する経済学者の多くは、経済危機を予想していた。
オーストリア学派は勢力は小さいが、発展を続けている自由市場を基とする経済学を信奉するグループである。
M(一八八一~一九七三)とノーベル賞受賞者H(一八九九~一九九ニ)の流れに連なるものである。
オーストリア学派に属する経済学者たちは、誰よりも早く住宅バブルに警告を発していた。
また、もし経済危機が起きれば、それは長期化するとも警告していた。
オーストリア学派に属する経済学者たちは、経済危機の元凶が連邦準備制度であることも見抜いていた。
連邦準備制度は、連邦政府の一部門として存在しているように装っている。
連邦準備制度は、議会の制定した設置法によって設立された。
トップである理事会の議長は、政府の指名によって就任し、独占的な特権を持っている。
連邦準備制度は、自由市場とは正反対の原理からできている。
連邦準備制度は経済計画を策定し、実行する組織である。
この考えはニ○世紀の遺物であり、前世紀で信頼を失った考えである。
経済計画と言っても、連邦準備制度が、昔のソ連のように、鉄鋼やコンクリートの生産量を決定するわけではない。
連邦準備制度は通貨供給量と金利を決定している。
通貨供給量と金利によって必然的に経済の状況は大きく左右される。
このことから連邦準備制度が経済計画を策定していると言ってよい。
連邦準備制度は、金利をなるべく低く設定する。
その数字は、市場で決まる数字よりも低いものとなる。
こうした経済への介入政策で、現在も解決の糸口さえ見えない経済危機が発生したのだ。
連邦準備制度そのものが、今度の金融危機の最も大きな原因なのである。
誰も望まないのに低い金利を定め、資金を過度に利用しやすくした。
するとそれが過剰なレバレッジや投機、そして大きな負債を生む結果となった。
連邦準備制度が金利を操作し、投資家たちに経済状況について誤った情報を与えた。
そのために、資金がリターン(利益)を生み出し続けるはずのない分野にまで過大に持ち込まれ、市場が混乱する結果になった。
そのことをもう一度、連邦準備制度の経済への介入は、バブル経済を発生させ、その崩壊を生み出した。
バブル経済は必ず崩壊する。
崩壊する前には人々は好景気を謡歌しているものだ。
バブルが崩壊すると、自由市場にその原因があるからだという主張は避けがたい。
ところがアメリカ政府そのものや連邦準備制度の問題点を指摘することはしない。
そのために経済危機は原因がわからないまま長引いてしまう。
経済学者のH・ハズリットは、何十年も前に次のように書いている。
「人為的に作られた好景気は、経済危機と不況の発生という形で終罵を迎える。
人為的な好景気は、不況よりも性質が悪い。
人為的に作られた好景気は、人々の誤った思い込みの産物である。
人々の誤った思い込みとは、不況が起きるのは不況に陥る前に発生したインフレーションのせいではなく、〃資本主義″にもともと備わった欠点のせいなのだ、と考えることである」よく考えてみよう。
連邦準備制度は、重要だが無視され続けた制度である。
人々は連邦準備制度が問題であることに気づかないふりをしてきた。
現在の経済危機の原因は連邦政府だと指摘する人たちも、連邦準備制度については口をつぐんでしまう。
連邦準備制度の破壊的な政策のせいである現在の経済危機を、自由市場のせいにしている人々が多い。
そうした問題の本質から目をそらすことが長年続いてきたが、もうたくさんだ。
問題の本質、そう、連邦準備制度がアメリカの経済を、冗談ではなく、完全に破壊してしまう可能性について、私たちは真剣に考えるべき時がやって来ている。
「住宅は最高の投資対象です。
住宅の価値が下がることはありえません。
頭金がゼロになることで、〃みんなが持ち家を持てる社会“の実現が近づきつつあります。
そして短期間で住み替えをすることによって、お金をたくさん儲けることができます」こんな誇大広告があったことをアメリカ国民はずっと覚えているだろう。
その内容は次のようなものであった。
住宅価格はこのあとどこまで下落するだろうか?それぞれの州や地方の住宅市場の状況で異なるだろう。
住宅価格がこのまま下落することは間違いない。
一九九○年代に日本の住宅バブルがはじけた際には、住宅価格は平均で八○%も下落した。
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